ヒトシズク

日々思うことや、自作の詩(?)、たま〜に映画の感想等々
いくの気ままなブログです

月と鏡

まだ膝丈にも満たない時分は


天使のようだと


その温かな腕に抱かれた


大きくなるにつれ輝きを増し


光は放つほど鏡に映えた



暗闇の中に佇み


自分は鏡であることに気がついた


最初から暗闇の住人であった


光を反射していただけだった


それに気づけず


己が太陽だと錯覚したのは


月でも眩い光を地に照らしたから


月は欠けた


鏡に映るのは誰だ


そこら中に僕がいる


量産型の僕がいる


僕は鏡だ

ドッペルゲンガー

「ドッペルゲンガーに会うと死ぬ」


一度は聞いた事がある話だと思う


しかし本当に死ぬ訳では無いのだ


今日は僕の友人が


ドッペルゲンガーに会った話をしよう


最初は双子の妹が出来たみたいと


嬉しそうに僕に話してきた


確かに目元の感じは似ていたが


瓜二つとまではいかなかった


しかし友人の日常も少しずつ


歪み始めていった


ある日


「いいなぁ、いいなぁ」


そう言って2人で


同じ服を買ったそうだ


「いいなぁ、いいなぁ」


そう言って同じ趣味を持ったそうだ


「いいなぁ、いいなぁ」


そう言って……


彼女の父親と交際をもち


親からの愛を奪ったそうだ


家庭は崩壊し、尊敬した父は


もう自分に愛など無いのだと知って


ある日を境に彼女は


自分が自分である事がわからなくなり


狂い


最後に偶然街ですれ違った友は


昔の溌剌とした美人の面影も無く


生きる屍のようだった

檸檬

目を開けていられない


酸っぱくて


眩しくて


どっちだろう


どっちもだろう


太陽を沢山浴びたであろう


黄色い身を齧る


太陽を沢山浴びたであろう


君の褐色の肌が笑う


爽やかな香りが


僕の鼻をくすぐる